オオヒメグモの釣り上げ式不規則網による捕食様式(38.5MB, 00:00:47)撮影日:2013/05/05 撮影場所:神戸大学 | ||
| 種類 オオヒメグモ Parasteatoda tepidariorum キーワード | ||
髙須賀圭三 (Keizo Takasuka) 2013/10/22登録 |
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オオヒメグモは立体的な不規則網を張り、その上方中央部に位置します。映像では見えにくいですが、不規則網は下方に向かって無数の縦糸が張り巡らされており、縦糸の地面手前の先端部には粘着性の高い粘球がつけられています。クモの下の方にテントウムシの幼虫が歩いており、これが縦糸先端の粘球に触れると振動がクモに伝わります。気づいたクモは、獲物をかけた縦糸を降りて獲物を捕らえ、釣り上げるように中央部に持ち帰ります。
☆もっと詳しく
オオヒメグモに代表されるような粘球つきの縦糸は、不規則網を共通して張るヒメグモ科の一部が獲得した特有の形質であり捕食様式です。これは縦糸が張られた物体(クモの種によって、木材やコンクリート、植物など様々)の上を歩き回る徘徊性昆虫類を捕らえるのに特化した糸です。実際、オオヒメグモの捕らえるエサのメニューは、アリやワラジムシなどの無翅の節足動物が大きな割合を占めます (Tanaka 1989)。この縦糸を利用したヒメグモ類の捕食様式に関する記述は、Foelix (1996)、池田 (2003)、新海 (2013)などにあります。
ヒメグモ科は総じて立体的な不規則網を張りますが、その立体的な網型も種やグループによって様々で、Benjamin & Zschokke (2003)によると大まかに4つのタイプに分けられ、4つそれぞれに違った捕食様式や捕食行動があります。そのうちこの粘球つき釣り上げ式縦糸の利用は2つのタイプに見られ、クモの定位置が網の中心にあるタイプ1(Achaearanea-type)とクモの定位置が網の側部にあるタイプ2(Latrodectus-type)に分けられます。網の中心部に位置するオオヒメグモは、タイプ1になります。4つのタイプのうち、半数の2つのタイプで釣り上げ式縦糸が採用されていることを考えると、ヒメグモ科の繁栄においてこの捕食様式が大変有効であったことがうかがい知れます。
Benjamin, S. P., & Zschokke, S. (2003) Webs of theridiid spiders: construction, structure and evolution. Biological Journal of the Linnean Society, 78(3), 293-305.
Foelix, R. F. (1996) Biology of Spiders. Oxford University Press. New York.
池田博明 編 (2003) クモの巣と網の不思議 多様な網とクモの面白い生活.文葉社.
新海明,谷川明男 (2013) クモの巣図鑑 巣を見れば,クモの種類がわかる! 偕成社.
Tanaka, K. (1989) Seasonal food supply for the house spider, Achaearanea tepidariorum (Araneae, Theridiidae) in northern Japan. Japanese Journal of Entomology, 57(4), 843-852.
(データ番号:momo131021pt01b)
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